毎年この時期になると思い出す。
ヤツはフラッと店にやってきてフィッティングルームに入るといびきをかいて寝てしまった。
よっぽど疲れていたんだろう。
体は薄汚く異様な臭いを放っていた。
顔はやつれ ゲッソリ痩せていた。
当時住んでいたアパートはもちろん動物など飼えるはずもなく その日遠くの空き地に餌をおいて離してきた。
その晩はその犬のことが頭から離れず一睡も出来なかった。
次の日 どういうわけか朝から私の店の前でず~っと吠えていたらしく 近所の人が 「車に轢かれるといけないから 預かっておいたよ。」と連れてきた。
何とかなるか?!
一緒に暮らすことにした。
これがジョンとの関係の始まりであった。(もちろんジョンという名は私が勝手に付けたものだが。)
ジョンが来た日は偶然なのか 私が12歳のこどもの日5月5日になくなった親父の命日であった。
親父も犬を飼っていたのを覚えている。
そこから15年間 いつも一緒にいた。
とにかくいつも食うことばかり考えているような犬だったが これが結構頼もしかった。
コイツといればきっと大丈夫だとなぜか安心できたものだった。
幸運を呼ぶ犬 ジョンの店
これがLUCKY JOHN’S STOREである。
今でもここで私を見守ってもらっている。
(SUZUKI)